大甕

おおみか

Omika

日立電鉄線の跡地をバス専用道として活用

所在地

茨城県日立市

1日平均乗車人員

JR東日本(2021年)約7,560人

Train line

常磐線

常磐線上り
水戸・土浦方面

水戸線上り
下館・小山方面

下り
日立・いわき方面

普通

どんな駅?

かつての駅舎は地上にあり出入口も東側にしかなかったが、2018年12月から駅舎の地下化が行われ東西を行き来できる通路、バスターミナルが整備された。2005年まで「常陸太田」〜「鮎川」間を結ぶ日立電鉄線があり、廃線後の跡地の一部はBRTと呼ばれるバス専用道として活用されている。

 

「大甕」とは酒を入れたり醸造するために使われる器の事で神事に使われたり、国境といった何らかの境界に埋められることがあった。この辺りは「大甕」を使用した神事が行われていたか、もしくは埋められていたことからそう呼ばれている説がある。

 

特急ひたち・ときわ停車駅。停車本数は多い。

JR東日本
 

路線

常磐線

日暮里起点
137.4km

 

 

駅構造 地上駅

 

ホーム 2面2線

 

開業日 1897年(明治30年)2月25日

 

運営形態 業務委託駅

 

Stamp

設置場所 改札窓口
備考 廃止

きれいな海と風神山。スタンプの状態が悪い。当駅は海に近く、東口から1km弱東に歩けば海が見え、当駅から徒歩約12分の古房地公園は海抜約20mの断崖上にある景勝地。風神山は日立市と常陸太田市に位置する標高約241mの山。山頂に常に強風が吹いているので風神がいる、というのが由来。風神山の登山口まで当駅から徒歩約30分。

設置場所 改札窓口

風神。日立市と常陸太田市の間には風神山という山があり、ここが温帯風と寒帯風の接点であるため風が強い事から風神伝説が伝わっている。「ふうじんやま」と呼ぶが「かぜのかみやま」とも呼ぶ。北の高鈴山から真弓山、そして風神山に連なる山々は日立アルプスの通称がある。

Gallery

駅名標。あまり表に出ないような気がするが難読駅

駅名標2。ホーム端の屋根のないところで雨ざらし

縦型駅名標。当駅の利用客はこの辺りだと日立駅に次いで突出した多さ

ホーム。日中でも利用客の姿は多く見られる

651系4両編成乗車口。かつての常磐線特急651系は7両の基本編成と4両の付属編成で構成され、仙台行きがいわき駅で4両切り離して7両をいわき止まりにし4両が仙台行きになる、なんてのがあったとか

ホーム上の待合室。1番線上り(水戸方面)ホーム上の待合室。2番線ホームにはない

改札階の待合室

改札階のトイレ

改札。ホームより低い位置にあるので地下1階かと思いきや地上1階

うまい!たのしい!観光いばらき。日立市は県北エリア。秋の蕎麦、動物園、メロン、SUP(サップ)

改札外コンコース。ニューデイズあり。地上から掘り下げた場所に通路があるため、大雨により浸水し自動改札機が使えなくなるなどの被害が出たことがある

東口出入口。当駅の東口はホーム上と同じ高さの場所、ロータリーがある低い場所の2つある。ここは高い場所

東口出入口2。旧駅舎はこの高い位置にあり、ホームは跨線橋での移動が必要だったらしい

「何事も思ふことなく いそがしく 暮らせし一日を忘れじと思ふ」石川啄木。勤め帰りに駅に下車する人々をねぎらうため昭和57年に建立。大甕駅整備事業により一時古房地公園に移されたが、再びの整備事業により大甕駅前に戻された

古くからの出入口の東口。日立市大みか町地区。海が眺められる古房地公園まで徒歩約17分

整備工事中だった頃の東口

工事中の東口駅舎

大みか案内マップ。当駅のスタンプにもいる風神山の風神の姿がある。古房地公園と日立灯台まで1km

東口にある大甕駅前待合所。利用時間は7〜19時

西口方面。出入口から自然光を取り入れる構造。コンセプトは「人と人を繋げる駅」

工事中のだった頃の西口方面。プランターが置いてあった

西口ロータリー。地下化により誕生した新しい出入口。茨城キリスト教学園があることから学園口ともいう。日立電鉄線の廃線跡を活用したバス路線「ひたちBRT」が発着している

整備工事中の頃の西口。傾斜の強い地勢により分断されていた東西地区が、結ばれた

西口出入口。駅構内は東西自由通路として24時間通行することができる。自転車は乗り入れ不可

西口の公衆トイレ。この辺りは駅の外にトイレがある駅が多い

駅名は漢字だが、地名の「甕」は平仮名。画数が多く難しい漢字なので書きやすく、わかりやすくするため?

大甕駅の文字。周辺の一部施設は漢字の「大甕」を採用しているが、ほとんどは「大みか」。小学校も大みか小学校である

かつての大甕駅の写真。この当時は東口の高台部分に駅舎が建っていた

名物「大みか饅頭」。茨城県日立市の銘菓であり、大甕駅構内のニューデイズで販売している

Spot

日立オリジンパーク

ひたちオリジンパーク

大甕駅から約1km


「小平記念館」「創業小屋」「大みかクラブ」「大みかゴルフクラブ」で構成される施設。小平記念館は無料で入館できる日立製作所の企業ミュージアムであり、自社の歴史や企業理念などを紹介している。創業小屋は日立鉱山工作課修理工場を再復元したもの。

小平記念館

日立製作所の創業者「小平浪平(おだいらなみへい)」。小坂鉱山に電気主任技術者として入社し、若きエンジニアであった彼は「自らの力で電気機械を製作したい」と学生時代から抱いてきた志を胸に「日立製作所」を立ち上げる

日立製作所最初の製品「5馬力誘導電動機」。国の重要文化財に指定。日本人により設計製造されたモーターとして現存最古のものであり、電気機械国産化の礎を築いた機械

日立マーク。「日」と「立」の漢字を組み合わせ、4つの角は太陽のフレアを表している。「太陽と友に立つ」という意味が込められている

昭和43年期アナログ計算機。国内の主要研究所、メーカーに多数納入され物理現象のシミュレーション、航空機、船舶等の動特性解析に活用された。

記念館のアネックスからは大みかゴルフクラブが見える

復元された創業小屋。日立製作所の原点となる施設

創業小屋の入口にある棟は増築されたもの。自作に成功した5馬力誘導電動機の成績が良かったため、後に200馬力誘導電動機を製作するスペースを増築した

創業小屋内

誘導電動機組み立ては「自ら調べ、自ら造り、自らためす」方法で失敗を重ねながら製作に励んでいた

古房地公園

こぼうちこうえん

大甕駅から約1km


日立灯台と遊具のある公園。公園は海に面した海抜約20mの断崖上にあるため潮風を感じることができる。眺望にも優れており、内からは久慈浜海水浴場をはじめとした海岸線を見ることができる。また初日の出の名所でもあるようだ。

公園内にある日立灯台。日立港の開港に合わせて建設され、港を出入りする船舶や沿岸を航行する船舶の道しるべとして活躍する。地元の人は「水木灯台」「大みか灯台」とも呼んでいるようだ

展望台

公園北側の景色

久慈浜海水浴場と久慈浜港

海水浴シーズンを迎えた久慈浜海水浴場

道の駅 日立おさかなセンター

みちのえき ひたちおさかなセンター

大甕駅から約3km


付近の久慈浜港から水揚げされた海産物を販売する道の駅。地元鮮魚店が軒を連ねる市場スタイルの施設。「あかつ水産」で提供される「味勝手丼」は30種類以上ある具材から好きなものを選んで会計をし、ご飯に盛り付けて食べるという他にはない独自の海鮮丼となっている。

飲食店が並ぶ第2センター

味勝手丼はパックに入った具材を好きなだけ選びお会計をしてから盛り付ける。だし汁もついてくる

イクラ・ネギトロ・タコ・マグロ・アジのたたき・エビで1500円ぐらい

あさりの佃煮・ごま昆布・しらす

風神山

ふうじんやま

大甕駅から約3.5km


茨城県日立市と常陸太田市に跨がる標高241.9mの山。「かぜのかみやま」とも呼ばれている。温帯風と寒帯風の南北の風の接点であり、風が強いことが風神伝説を生み頂上には風神の碑が置かれている。頂上付近には風神山自然公園が整備されていて、そこから日立市の市街地や大平洋を一望できる。

風神山自然公園出入口

風神山自然公園、風の広場

風の広場からの景色

風の広場からの景色2

公衆トイレ

展望台

展望台からの景色

風神山山頂

風神山241.9m

風神の碑。寒水石の表面に風袋をかつぎ山頂に立つ姿の風神像が浮き彫りにされている。手の指は東西南北を表す意味から4本

雷神の碑。石の表面に別雷皇太神宮(わけいかずちこうたいじんぐう)の文字が刻まれている。風神、雷神は昔から五穀豊穣と海難回避を祈願された神と言われている

山頂付近から大森展望台へ通じる道がある。徒歩5分

大森展望台への道は少しわかりにくい。途中で道が二手に涌かれる場所があるので、光が差す方へ

大森展望台

大森展望台からの景色。木々でほとんど見えない

切り株の上に立てばまあなんとか

風神山から真弓山に通じるハイキングコースがある。アップダウンは少なめで歩きやすい

途中の景色

風神山と真弓山の途中に展望台がある。風神山頂上から徒歩約30分ぐらい

展望台。Googlemapでは「みはらし台」と書かれている

展望台からの景色

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Column

転生したらバスだった件2

 

現在の大甕駅は常磐線のみの単独駅だが2005年まで日立電鉄線と呼ばれる約18kmの路線が乗り入れ、大甕駅は乗り換え駅になっていた。

 

 

日立電鉄線は水郡線の「常陸太田駅」から東にある大甕駅を経由して、北にある常磐線「日立駅」の南に約3kmの場所にある「鮎川駅」に至る路線である。

 

中間駅の大甕駅を中心とし、常陸太田市と日立市の都市間輸送を担う「大甕駅」〜「常陸太田」間と日立市の市街地を走る「大甕」〜「鮎川」間と2系統の路線に分かれていたようだ。

 

とはいえ完全に大甕駅で系統分離されているわけではない。全区間を走行する列車を基本とし、早朝と深夜で大甕行きなどの区間列車が設定されていた。

 

 

運行本数は1時間に2本程、ラッシュ時は1時間に4本運行。しかし2004年以降は減便され1時間に1本になっていた。

 

日立電鉄が廃線となったのは橋梁などの設備更新の経費がかさむことであった。運賃値上げや全線のワンマン化、駅の無人化などの合理化はしたがそれでも赤字から逃れることはできず、2005年4月1日に廃線となる。1928年に開業して77年の運行に幕を閉じたのだった。

 

 

廃線後は大半の設備が取り壊され、日立電鉄の面影を残すものはほとんどなくなっている。が、一部廃線跡は「ひたちBRT」と呼ばれるバス路線のバス専用道に整備して利用されているのだ。

 

日立電鉄廃線から8年後の2013年3月25日、「久慈浜」〜「大甕」間の一部廃線跡をバス専用道路へ転用することで運行開始した「ひたちBRT」はバス専用道を走行することで一般道の渋滞を回避すること可能になっており定時制を維持しやすい。さらにバス以外走行する車両がないので比較的早い速度で目的地に到達できる。この専用道を走行するバス路線を「バス・ラピッド・トランジット」縮めて「BRT」と呼ぶ。

 

BRTは1974年に南アメリカから開業して、維持費の安さ、専用道による定時制、一般道に乗り入れて目的地を自由に変えられる柔軟性の高さ、設備も簡易的なものですむことから世界各国に広まり、日本でも導入が進んでいる。

 

日立市は南北方向に渋滞するという性質があるため、その改善のためにBRTが整備されたのだ。「久慈浜」〜「大甕」間を第1期区間、2018年3月26日には「大甕」〜「河原子」間の第2期区間が開業し専用道6.1km、総距離8.6kmになり常磐線の常陸多賀駅まで乗り入れるようになった。最終的には一般道を経由して日立駅まで乗り入れるようようになるとのことだ。

 

ここからはバス専用道がどのようになっているか見てみよう。

 

 

大甕駅東口から吹き上げ通りを南に約700m地点、バス専用道の出入口がある。この遮断機で専用道にバス以外の車両が入れないようにしている。遮断機の開閉はバスの運転士がリモコン操作で行うらしい。

 

 

遮断機の隣には歩行者が通行できるスペースがある。あまり幅がないためか自転車は乗り入れ禁止になっている。

 

 

バス専用道は一車線なため、一部箇所にバスの行き違いスペースが設けられている。電車でいう単線区間の列車の行き違いだ。

 

 

信号機。一車線で対向車と合流してしまうことを防ぐために設置されていると思われる。赤信号の時は行き違いのできる場所で対向車との待ち合わせを行うのだろう。

 

 

ソーラーパネル。遮断機や信号機などの設備に使用する電力を賄っているのだろう。

 

 

バス停は屋根やベンチが設けられていてそんじょそこらのバス停より豪華。

 

 

バスの運行時刻は平日と休日でだいぶ異なる。平日に至っては朝より夕方と夜の方が運行本数が多くなっている。

 

 

バス停によっては時刻表がディスプレイ式になっていて非常に見やすい。

 

 

 

とまあ、ひたちBRTの大甕駅周辺はこんな感じである。さすが専用道だけあって設備が普通の路線バスと違って整っていることがわかる。鉄道の廃線跡を利用していることもあり、バスなのにどことなく鉄道路線のような雰囲気を思わせる・・・。まさしく日立電鉄線の生まれ変わりといえるだろう。

 

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