大原

おおはら

Ohara

外房線といすみ鉄道が利用できる、いすみ市の代表駅

所在地

千葉県いすみ市

1日平均乗車人員

JR東日本(2021年)約1,090人
いすみ鉄道(2020年)約220人

Train line

外房線

上り
大網・千葉方面

下り
勝浦・安房鴨川方面

普通

いすみ鉄道線

 

下り
大多喜・上総中野方面

どんな駅?

概要

 

外房線といすみ鉄道線が乗り入れる駅。JRは特急わかしお停車駅。いすみ鉄道は駅員が配置されていないので無人駅扱いとなっている。

 

JR東日本


外房線(千葉起点)57.2km


開業日 1899年(明治32年)12月13日

 

 

いすみ鉄道


いすみ線(大原起点)0km


開業日 1930年(昭和5年)4月1日

 

いすみ鉄道線は元々国鉄の路線だった木原線を第3セクター化した路線。いすみ鉄道になってからは厳しい経営状況が続き廃線になりかけたが、2009年に就任した社長が訓練費用自己負担運転士やムーミン列車の運行、新車導入などの経営活性化策を実行した結果成功し、廃線を免れた。

Tracks map

外房線・いすみ鉄道線

大原

JR外房線は2面3線ホーム。駅舎側1番線は上下兼用、2番線は上り(千葉方面)、3番線が下り(安房鴨川方面)。「長者町」〜「御宿」間は単線であり、上下線の行き違いがない時は基本的に駅舎側1番線を使用。3番線外側に留置線があり、普通列車の夜間留置が設定されている。普通列車は朝に当駅始発、夕と夜に当駅発着がある。

 

いすみ鉄道線は1面2線ホーム。同路線の起点を担う駅。1番線からJR外房線への連絡線があるが通常は使われない。

 

出典「配線略図.net」https://www.haisenryakuzu.net/

Stamp

設置事業者 JR東日本
設置場所 改札外
備考 スマートフォンアプリ「エキタグ」のNFCタグを読み取り取得

釣りとサイクリングの駅。大原漁港は釣り船が多くあり、船釣りや沖釣りを楽しめる。九十九里町といすみ市の間には千葉県道405号九十九里一宮大原線という約34kmの自転車道がある。

設置事業者 いすみ鉄道
設置場所 改札外

いすみ鉄道、大原漁港。いすみ鉄道はいすみ市と大多喜町を走るローカル線で、春の時期になると沿線が菜の花でいっぱいになる。大原漁港は大原駅から徒歩約20分ぐらいの漁港。イセエビの漁獲量が日本一であり、外房イセエビという千葉ブランド水産物に指定されている。またタコの水揚げも盛んであり、大原産マダコとして兵庫県明石(あかし)市の明石タコと並び日本の2大タコと称される。

設置事業者 いすみ鉄道
設置場所 改札外

房総横断乗車記念。房総内陸部を走るいすみ鉄道は終点の上総中野駅で小湊鉄道線に乗り換えることで房総半島を東西に横断可能。この事から両路線を合わせて「房総横断鉄道」と呼ばれている。総距離は65.9kmで両路線で使用できる房総横断記念乗車券が販売されている。

Gallery

JR

駅名標

駅名標2

縦型駅名標。いすみ市の前身、大原町。現在はいすみ市大原としていすみ市の中心地を担う

名所案内。当駅は波切不動(大聖寺)、照願寺(しょうがんじ)、大原(小浜)海岸、大本山七副天、顕妙寺(げんみょうじ)、真実一路の碑、大原海水浴場、釣場

ホーム。単線区間にある2面3線。屋根はホーム中程のみ。列車の行き違いをしない時は上下線共に駅舎側1番線を使用し、跨線橋による移動の負担をなくす

待合室。2・3番線ホーム中程、跨線橋近く

サイン。行き先の表記なし。当駅は列車交換しない場合は配慮として上下線とも駅舎側1番線を使うことが多いためか

歴史を訪ね、自然を語らい。うんめぇもんを味わう・・・いすみの旅へ出掛けませんか・・・ようこそ!いすみへ

駅舎の中。自動改札機、精算機、券売機、みどりの窓口がある。直営駅かつ特急わかしお停車駅だが指定席券売機は未設置

当駅のみどりの窓口は2024年3月31日で営業終了することに

みどりの窓口廃止後の駅舎内。掲示物とディスプレイが設置された

2024年9月30日(月)〜2025年3月16日(日)に開催された位置ゲーム「駅メモ!」のデジタルスタンプラリーイベント。なより・さとみ・なのかと行く♪房総半島の風光明媚トラベル。背景は丹ヶ浦

いすみ鉄道乗り換え。券売機は2つ。菜の花シーズンは行列になることが多い

かつてのいすみ鉄道乗り換え

駅前。西側の1か所だけ。いすみ市の中心市街地にあたり、朝市が開催される大原漁港まで徒歩約17分。駅から正面に向かって少し歩くとセブンイレブンがある

駅の看板

駅前のイルミネーション

いすみ鉄道

駅名標。いすみ鉄道にご乗車されたみなさんの未来が輝かしいものであるようにと願って命名した

駅名標2。「Free Wi-FiならWi2」とは株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレスのネーミングライツ。大原駅・国吉駅・大多喜駅・上総中野駅およびいすみ鉄道の列車内でフリーWi-Fiを提供する

かつての駅名標

縦型駅名標

縦型駅名標2。シンプルイズベスト。ローカル線はシンプルなのが似合う

ホーム。いすみ鉄道線の起点駅。1番線はJR外房線と線路が繋がっており千葉方面との直通運転が可能となっている。起点駅だが夜間滞泊は行わない

いすみ鉄道0キロポスト。2番線にある。終点は26.8km先の上総中野駅。これが木原線時代からあるものなのかは不明

千葉県流山市の芸術家と千葉県立大原高校、大多喜高校美術部による絵画。イセエビや大原はだか祭り、大多喜城、養老渓谷の紅葉などいすみ鉄道沿線の名物や名所を描く

ありがとうございました

のりばご案内

駅舎内。JR大原駅と直結。食券型の自動券売機が置かれ、中は土産物屋となっている。有人駅に見えるが売店の店員は駅員ではないため無人駅扱い

土産物屋営業時間外。営業時間は2024年現在、月〜金が10〜16時。土日が9〜17時

JR大原駅入口。JR外房線といすみ鉄道線沿線の名所を描いたものがある。大原駅周辺は平和の鐘、大原海水浴場、はだか祭り

いすみ鉄道の駅舎を外から眺める

2024年10月4日、「国吉」〜「上総中川」間で大原始発上総中野行き普通列車(2両)が脱線。以降全線で運転を見合わせバスによる代行輸送を行った

駅の看板。いすみの「い」を丸に図案化した社章が良い

スナフキンとスニフ

 

Spot・Event

大原漁港 港の朝市

おおはらぎょこう みなとのあさいち

大原駅から約1km


毎週日曜日に大原漁港が開催する朝市。最大40店舗以上の出店が出店し新鮮な海産物や農産物、それらを使用した軽食を販売する。大原漁港はマダコとイセエビの水揚げが盛んであり、イセエビは日本で一番の漁獲量を誇るという。

衣とたこの食感が絶妙なたこ唐揚げ

身が厚くて衣がサクサクのアジフライ

あさりとおこわの風味が良いあさり飯

身が大きく衣サクサクのエビフライ

九十九里のはまぐりは汁もダシが出ていて美味しい

プリプリして香ばしいいか焼き

イセエビの味噌汁はダシが素晴らしい味わい

マダコを使用したタコめしはプリプリとした至高の逸品

鯛めし

伊勢海老めし

いわしのつみれ汁

ワラサのなめろう丼

たこ焼き

地ダコ

いわしの干物

開催場所は大原漁港内で異なる場合がある

2024年10月13日訪問時、場内で人が行き交うのがやっとなくらい大盛況。物1つ買うのもやっとであった

 

大原海水浴場

おおはらかいすいよくじょう

大原駅から約1.5km


日在浦(ひありうら)海岸に約300mに渡って砂浜が広がるいすみ市の海水浴場。トイレとシャワーを併設した展望施設があるのが特徴。遠浅で波が穏やかなビーチは家族連れに人気。太平洋の地平線を一望できるため初日の出の観賞スポットとしても人気のようだ。

アーチ

海岸

小浜八幡神社

こはまはちまんじんじゃ

大原駅から約1.5km


八幡岬上の断崖に位置する神社。新田野の八幡神社を勧請して創建されたと伝えられる。神社のある断崖が太平洋に突出しているため大原漁港や丹ヶ浦、いすみ市の町並みが一望でき眺望に優れる。この景色を求めて多くの文人墨客が歴訪した記録がある。

公衆トイレ

名称八幡岬はその形が帽子や鳶(とび)に似ているので、帽山または鳶崎とも呼ばれている

若山牧水の石碑。八幡岬にありて図らず満月をみる ありがたや 今日満つる月と知らざりし この大き月 海にのぼれり

神社の南側に広がる丹ヶ浦

いすみ市の町並み

散策

神社の北側にある大原漁港

大海原

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Column

房総のムーミン谷

 

いすみ市の大原駅と大多喜町の上総中野駅を結ぶいすみ鉄道。房総半島内陸部を走る、路線距離26.8kmのローカル線である。

 

 

のどかな里山風景が魅力的だが、いすみ鉄道の目玉は春の時期になると線路沿いに菜の花や桜が咲くこと。菜の花が沿線に咲く距離は約15kmと言われ路線総距離の半分も黄色い菜の花でいっぱいになる。これを目当てに普段の何倍もの乗客、カメラマンが訪れ沿線は大変賑わう。いすみ鉄道といえば菜の花、と言えるぐらいだ。

 

しかしいすみ鉄道には菜の花の他にもうひとつ象徴的なものがある。それは「ムーミン」だ。

 

 

ムーミンはフィンランドの作家トーベ・ヤンソンが描いた童話の中に登場するキャラクターである。世界的に有名なため日本で知らない人はそういないはず。

 

いすみ鉄道は里山や菜の花畑を走る。ムーミンは自然を愛し、お花畑の中で皆仲良く暮らしている。この共通点からいすみ鉄道は沿線をムーミン谷とみなし、2009年10月1日からムーミンをイメージキャラクターとして採用した。

 

 

これは沿線人口の利用客現象に伴い赤字に悩まされていたいすみ鉄道の経営回復手段である。この時いすみ鉄道は廃線の危機に陥っており、2009年度の決算で改善が見込めない場合は代替交通を用意して廃止する予定だった。

 

 

いすみ鉄道は列車や車内にムーミンキャラクターを施し「ムーミン列車」に、国吉駅にムーミングッズ専門店をオープン及びいすみ鉄道とのコラボグッズを販売、駅構内や沿線も彩り、いすみ鉄道沿線はのどかなムーミン谷へと変貌を遂げた。

 

この試みは見事成功し多くの観光客を呼び込むことができた。その他にも行った数々の増収策も好調で、結果的に廃線を免れることに成功する。

 

 

存続が決まった後もムーミン列車はいすみ鉄道の名物・象徴として観光客を惹き付け続け、後に「ムーミンの聖地」と呼ばれるまで定着した。しかし、そんないすみ鉄道にも転換期が訪れる。

 

2019年3月31日を持ってムーミン列車の運行を終了するというのだ。取り止める理由は沿線の人口減少に伴う収入減とのこと。

 

なぜ収入減で終了してしまうのか?それはムーミンというキャラクターは著作権利用許諾、すなわちライセンスがなければ商売として利用できないためである。

 

 

これは東京ディズニーリゾートと同じ仕組み。東京ディズニーリゾートを経営する株式会社オリエンタルランドがアメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーとのライセンス契約を行うことでディズニーというキャラクターを使用している。ムーミンもディズニーもいわば「キャラクタービジネス」の一種なのだ。

 

ムーミンの利用許諾料がいくらなのかは不明だが、いすみ鉄道という一会社が更新を取り止めるぐらいだから相当な金額なのだろう。

 

 

ムーミン列車は終了してしまったが廃線の危機に面していたいすみ鉄道に観光客を呼び寄せ、存続させることに成功した。ムーミンがいなければいすみ鉄道は今なかったかもしれない。

 

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