上総一ノ宮

かずさいちのみや

Kazusa-Ichinomiya

運行形態が大きく変化する外房線の境界駅

所在地

千葉県長生郡一宮町

1日平均乗車人員

JR東日本(2021年)約2,370人

Train line

外房線

上り
大網・千葉方面

下り
勝浦・安房鴨川方面

総武快速

 

京葉線

 

普通

どんな駅?

外房線の運行形態上における境界駅。千葉方面からの半数の普通列車、総武線快速及び京葉線直通列車(1往復除く)は当駅止まりとなって折り返すため、当駅から安房鴨川方面は電車の本数が1時間に1本ほどになる。

 

2面3線ホーム。東浪見寄りに3編成留置可能な留置線を持つ。駅舎側3番線は上り(千葉方面)、2番線は上下兼用、1番線は下り(安房鴨川方面)。日中の京葉線直通列車は2番線に発着し、1番線の下りワンマン列車と対面接続する。また八積寄りにはE257系の特急わかしおが連結・切り離し作業の際に用いる引き上げ線がある。

 

千葉方面からの総武線快速は当駅で折り返し運転を行っているが、1998年までは勝浦駅まで乗り入れていた。後ほどは大原駅までとなり、2004年10月16日のダイヤ改正で当駅までの乗り入れとなった。

 

特急わかしお停車駅であり一部は当駅発着となっている。E257系で運行されるわかしおは当駅で増結・切り離し作業を行う列車があり、該当列車の上りは5両から10両に増結、下りは10両から5両に切り離しとなる。

 

2020年のオリンピックのサーフィン会場が町内にある釣ヶ崎海岸に選ばれたことから快速や特急が停車する当駅は一宮町の玄関口を担うことになり、町の玄関口としてふさわしい駅舎にリニューアルが行われた。改札も海側に近い東口が新設され利便性が向上した。

JR東日本
 

路線

外房線

千葉起点
43km

 

 

駅構造 地上駅

 

ホーム 2面3線

 

開業日 1897年(明治30年)4月17日

 

運営形態 直営駅

 

Track wiring

上総一ノ宮

※2021年7月現在の配線図です。

Stamp

設置場所 改札窓口

緑と海と太陽のまち 一宮。一宮町キャラクター一宮いっちゃん。一宮町のキャッチコピー「緑と海と太陽のまち」をイメージして髪が九十九里の海、一宮町の海と山をモチーフにした頭から太陽が昇る。好きなことはサーフィン。身長体重は女の子のためヒミツ。弱点はわき腹をくすぐられること。

Gallery

駅名標。当駅があるのは「一宮町(いちのみやまち)」。一ノ宮町ではない

駅名標2。ホーム八積寄りにある直立タイプ。余談だが、群馬県の上信電鉄には「上州一ノ宮」という漢字で見ればそっくりな駅名がある

縦型駅名標。駅名がかっこいいという声が挙がっている

ホーム。駅舎から跨線橋を渡った先の島式ホームは主に東京方面の快速列車、安房鴨川方面の普通列車の対面乗り換えに使われる。島式ホームの八積寄りは屋根がない

2・3番線ホームに待合室。2020年東京オリンピックのサーフィン会場が一宮町の釣ヶ崎海岸に選ばれたという事で2018年12月27日にリニューアル。ガラス部分はサーフィンをイメージした波模様

サーフボードデザインの椅子。サーフィンの町、一宮町ならではの待合室

一宮町をアピールする看板。緑と海と太陽の町 いちのみや

階段アート。Welcome to Ichinomiya

駅舎側1番線上り(千葉方面)ホームにあるB.B.BASEGATE。ここから自転車の出入りを行う

駅舎側1番線ホーム跨線橋手前にあるトイレ

リニューアル前のトイレ。東京2020オリンピック開催に伴い和式から様式に改修された

駅舎の中。コンセプトは「町波ラウンジ」。玉前神社の門前町として栄えた歴史ある町並み、豊かな波が打ち寄せる海岸を合わせたもの。格子状の天井は千葉県産の杉を使用し、波をイメージ

わかしお(エル特急マークつき)

上総一ノ宮駅の歴史。上総一ノ宮駅は1897年(明治37年)4月17日に房総鉄道(当時)開業に伴い営業開始した。

かつての駅舎の中。2020年東京オリンピック開催に伴い当駅の駅舎は2020年7月1日よりリニューアル。当駅にはみどりの窓口があったが2022年7月31日に閉鎖。運行上の拠点を担う当駅のみどりの窓口をなくすのはどうかと思うが・・・

2020年のオリンピックのポスターがたくさん

Welcome Kazusa Ichinomiya

出入口にある涼しげなのれん。当駅の出入口は風向きや雨風が与える建物内部の影響を計算し、出入口の壁の角度が斜めになっている。これにより夏季は室内に自然風を取り入れ、冬季は冷たい風を防ぐ。そのためか当駅の駅舎内(事務室除く)は空調がない

西口。駅周辺は一宮町の中心市街地。玉前神社まで徒歩約7分。上総一ノ宮という駅名は、玉前神社の社格が上総国の一宮であることに由来するとか。一宮とはその地域の中で最も社格の高い神社である

躍動する緑と海と太陽の町 一宮

一宮町マップ

一宮町マップ2。芥川荘、城山公園、玉前神社などなど

街灯

西口に観光案内所がある。レンタサイクル、レンタルサーフボード、コインロッカーなど

東口改札。2020年7月1日の新駅舎供用開始と同時に新たにできた出入口。ICカード専用。無人で券売機や精算機がなく、チャージ等ができないため注意

東口。西口にはないロータリーがある海側の出入口。駅前のコンビニは東口のセブンイレブンしかなく、東口ができる前はわざわざ西口から交通量のやや多い踏切を渡って行く必要があった

東口駅舎。エレベーターあり。一宮町が30年以上期待していた念願の出入口だったとか

上総一ノ宮駅の文字

夜の上総一ノ宮駅の文字

かつての駅舎

かつての駅の看板

駅舎工事中

東口新設中

Spot

玉前神社

たまさきじんじゃ

上総一ノ宮駅から約500m


玉依姫命(たまよりひめのみこと)を祭神とする1200年以上もの歴史を持つ神社。地域内で最も高い社格「一宮」の神社であり、一宮町という町名の由来にもなっている。女性を守護する神社として知られ、縁結びや安産などにご利益があることで知られているようだ。

鳥居

全体の8つの石は「八方除」、中央の平らな「縁結石」、左手2つは「夫婦石」、その間に「子宝石」、右手の「舟石」は大海へ向かう勇気を表す

自由に取れる御神水。心身を祓い清め、拝受することにより身によく運気を向上させると言われている

国家「君が代」で歌われるさざれ石。小さな石や細かな石のことを言う

境内

子宝・子授けイチョウ。雄株(右)と雌株(左)の真ん中に実生の子どもイチョウが育っている。雄株→雌株→子どもの順に両手で触れて子宝を願うとよいと言われている

神楽殿。玉前神社上総神楽は千葉県指定無形民俗文化財である

一宮町指定文化財(天然記念物)玉前神社槇の群生。本殿裏から西側にかけて槇が二十数樹群生し、他の神社では見られない光景

神木「いす」。「なんじゃもんじゃ」とも呼ばれるマンサク科いすの樹。古来当社の御神木として崇められてきた

一宮町指定文化財(史跡)芭蕉の句碑。「たかき屋にの御製(ぎょせい)の有難を今も猶(なお) 叡慮(えいりょ)にて賑ふみたみや庭かまど はせを」。「はせを」とは芭蕉のこと

招魂殿

力石。娯楽のなかった昔、祭礼の日などに力自慢によって競われた遊び道具

獲錨記念碑。明治の末、九十九里浜の海に沈んでいて度々魚網に被害を及ぼしていた錨が漁師の網にかかり引き揚げられた

道の駅むつざわ つどいの郷

みちのえきむつざわ つどいのさと

上総一ノ宮駅から約7km


県道150号線にある睦沢町の道の駅。2019年オープンと千葉県の道の駅の中では新しい。「スマートウェルネスタウン」とも言う。農産物直売などを行う直売所、地元野菜を使用したイタリアンレストラン、地場産ガスで温める天然温泉などがある。

睦沢町産のブルーベリーを使用した「べっぴんドレッシング」、睦沢で作った干し芋の「むつぼしいも」

郵便局のほしいも。当道の駅近く、睦沢郵便局の敷地内にある工場が製造している。睦沢町は農業を主体とする町なので、農業の活性化が町の活性化にも繋がるということから比較的育てやすい作物のさつまいもを特産品として採用した

千葉県むつざわ米のべっぴんあられ、むつざわのこむぎ(クッキー)。「睦沢べっぴん」とは特別に良いものという意味が込められている。睦沢町では小さな町の大きな商品化を目指して町の商工会を中心に物産品作りに取り組んでいる

レンタルルームの「つどいのハコ」。前には芝生広場がある

レストラン「Trattoria Due(トラットリア・ドゥーエ)」。パスタランチのサラダとスープ

パスタランチ、アマトリチャーナとパン

テイクアウトでドリンクや軽食を販売する「オリーブの森のカフェ」。2024年3月23日オープン。

オリーブの森のカフェの「うまいもん焼き」。むつざわ米の表面をこんがり焼き上げ、キャンプスパイスをふりかけた一品

睦沢町立歴史民俗資料館

むつざわまちれきしみんぞくしりょうかん

上総一ノ宮駅から約6km


睦沢町や周辺地域の歴史・文化資料の収集、保存、展示を行う資料館。睦沢町のほぼ中央に位置している。1階は復元民家、暮らしの道具、睦沢町の民俗を紹介する「庶民のくらし」、2階は千葉県指定文化財の妙楽寺木造毘沙門天像などの仏像彫刻を展示する「歴史と文化財」。館内はセキュリティの関係上写真撮影が禁止されている。

lunch

名糖食堂(一宮タンタンメン)

 

 

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Column

東京から房総へ

 

 

内房線の君津以南、外房線の上総一ノ宮以南(房総末端区間)は利用客に大きな段差が生じ、利用客が少なくなることから電車の本数が一時間に一本程になる。また、運行形態が分断されるため君津駅及び上総一ノ宮駅を越えて電車を利用する場合は、基本的にこれらの駅で乗り換える必要が出てくる。

 

一時間に一本しかないのではさぞかし乗り継ぎが悪そうだ・・・駅で長時間待たされるのか・・・と、思うがそんなことはない。内房線と外房線は東京方面からの快速列車との接続を意識したダイヤになっているのだ。

 

 

例えば東京駅から内房線に直通する総武快速線に乗り君津以南に行くとする。土休日ダイヤでその一部を見てみよう。

 

東京発
君津行き
君津着 君津
乗り換え
8:04 9:29

9:39
上総一ノ宮行

8:58 10:25

10:37
上総一ノ宮行

9:55 11:30

11:37
上総一ノ宮行

10:55 12:31

12:37
上総一ノ宮行

11:55 13:31

13:37
上総一ノ宮行

※2021年11月現在

 

いかがだろうか。東京方面から内房線直通の総武快速線に乗ると君津駅にて房総末端区間への列車と接続する。乗り換え時間も6〜10分とある程度余裕があるのも良い。

 

 

次に東京駅から外房線に直通する京葉線に乗り上総一ノ宮以南に行く例を見てみる。こちらも土休日ダイヤを想定する。

 

東京発
上総一ノ宮
行き
上総一ノ宮
上総一ノ宮
乗り換え
9:02 10:29

10:32
木更津行

10:02 11:30

11:40
木更津行

11:03 12:32

12:40
木更津行

12:03 13:30

13:40
木更津行

13:03 14:31

14:42
木更津行

※2021年11月現在

 

どうだろうか。内房線と同じように京葉線は外房線末端区間への接続が意識されたダイヤが組まれているのだ。こちらも一部を除き乗り換え時間に10分程の余裕があり、ドタバタしにくい。

 

因みに接続を行う列車は同じホームに発着するため、階段の上り下りをすることなく対面乗り換えができる。なのでスムーズに乗り換えができるようになっている。

 

まとめると総武快速線君津行きは内房線に、京葉線上総一ノ宮行きは外房線への接続がある程度の乗り換え時間で可能となっている。一見すると房総末端区間は切り離されたような印象を受けるが、ちゃんと東京方面からの接続が考えられている。比較的東京都心からの利便性を確保していることから、計算されたダイヤと言えるだろう。

 

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