運河
うんが
Unga
複線区間と単線区間の境界
千葉県流山市
東武鉄道(2021年)約17,300人
東武アーバンパークライン
上り
春日部・
岩槻・大宮方面
下り
流山おおたかの森・
柏・船橋方面
急行
区間急行
普通
駅名は近くを流れる利根運河に基づくもの。当駅から春日部駅にかけて単線区間となるため柏方面から当駅折り返しの列車が設定されている。
2面3線ホーム。中線の2番線は上下発着が可能であり柏方面からの区間列車、アーバンパークライナー運河行きの折り返しに使われる。当駅から柏・船橋方面は急行運転区間に入り、日中は普通運河行きが急行大宮行き、急行船橋行きが普通柏行きに緩急接続するダイヤが組まれている。
路線
野田線
大宮起点
33.2km
駅構造 地上駅(橋上駅)
ホーム 2面3線
開業日 1911年(明治44年)5月9日
※2021年7月現在の配線図です。
駅名標
縦型駅名標
ホーム。単線・複線区間の境界。2面3線で当駅折り返し、緩急接続あり
改札
運河駅ギャラリーというスペース。憩いの場のようだ
ロータリーのある東口。駅周辺は住宅街。北すぐに利根運河が流れる
ムルデル記念通り。利根運河及び東京理科大学と駅を最短で結ぶ歩行者専用道路。名称の由来は利根運河建設に大きな役割を果たしたオランダ人「ムルデル」
西口。近くに流山街道・日光東往環が通る
運河駅の文字
特製味噌ラーメンわだ商店野田店(味噌ラーメン祝い盛り)
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東武アーバンパークラインは東京都心の北東部を囲むように各都市を結ぶ郊外型の路線であり、通勤通学利用が多い。そのため路線のほとんどが複線になっている。
しかし元から複線が多かったわけではなく、昔は単線区間が多かった。アーバンパークライン(野田線)は元々、野田市駅周辺にある大手醤油メーカー「キッコーマン」の工場から柏駅に醤油を貨物輸送するために建設された路線である。
柏駅からはJR常磐線を通じて日本全国にキッコーマンの醤油が輸送されていたのだ。しかし高度経済成長期にトラック輸送が拡大したため、1985年に野田線の貨物輸送は終了することになる。
貨物輸送終了後は東京都心に近いということ、各都市を放射状に結ぶという路線の性質から郊外のベッドタウン路線へと変貌していく。単線区間が多かった野田線は需要の増加に伴って次第に複線化されていった。そして2019年にはとうとう単線区間が「春日部」〜「運河」間を残すのみとなった。
そして2021年、踏切をなくす連続立体交差事業により「清水公園」〜「梅郷」間が高架となり、愛宕駅と野田市駅は高架駅に生まれ変わったのだった。
・・・が複線化されず単線のまま高架になった。せっかく高架になるんだから複線にしてもいいじゃないか、と思うがなぜだろう。
これはアーバンパークラインにおける路線の特性、利用客の傾向が関係している。
アーバンパークラインは東京都心に直結しておらず、東京都心から延びる放射状の路線との乗り換え駅を多く持っている。アーバンパークラインはこれらの乗り換え駅同士を結ぶ路線であり、利用客は乗り換えたい駅で下車して東京都心に繋がる路線に乗り換える、という利用傾向があり、この傾向から長距離に渡って乗車する利用客が少ない。
そして残された単線区間である「春日部」〜「運河」間は東武アーバンパークラインの中でも利用客が少ない。しかし単線で利用客が少ないながらも毎時6本という本数が確保されている。
単線なのに毎時6本運行ができるのはこの区間にある駅全てが列車交換可能な構造だからである。「春日部」〜「運河」間の上下線はほぼ終日に渡って駅で列車交換を行う。単線という限られた線路でありながら設備をフル活用することによって都心部に引けを取らない運行本数が実現できているのだ。
つまり複線化しなかったのは「春日部」〜「運河」間の利用客が少ないこと、現在の設備で需要に見合った運行本数が確保できているからである。今のまま複線化しても費用対効果が少ないということだろう。
しかし一生複線化しないわけではなさそうだ。野田市駅は2021年10月現在1面2線ホームなものの、将来的には2面4線ホームに増設、さらに留置線を1本新設する予定がある。これは複線化の布石だろうか、いずれにせよアーバンパークラインの今後の動向に注目したい。
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